現役バリスタが教えるラテアートにお勧めなミルクピッチャーの選び方・考え方
皆さんはミルクピッチャーを買う際になにを基準に選んでいますか?
この記事を読んでいる皆さんは恐らく、
「ラテアートを上手に描きたい。」
「ラテアートがやり易いミルクピッチャーはないかな?」
こう思っている方がほとんどだと思います。
自分は仕事柄これまで毎日何十杯とラテアートをやってきて色々なピッチャーを扱ってきました。
その経験から今回は実際にラテアートを描くのに適したミルクピッチャーの選び方をお伝えしたいと思います。
業務用エスプレッソマシンで使いたい方、自宅用エスプレッソマシンで使いたい方。
人によって選ぶべきミルクピッチャーが変わってきます。
でもそもそもどういった基準で選べばいいか分からない方も多いと思います。
なので今回の記事では基本的なミルクピッチャーの選び方からラテアートにお勧めのミルクピッチャーをお伝えしていきます。
ミルクピッチャー選びに悩んでいる方はこの記事のミルクピッチャー選びのポイントを押さえればどういった基準でミルクピッチャーを選べばいいか分かるようになるはずです。
先に回答をお伝えするとミルクピッチャーを選ぶ際に考えるポイントは大きく二点です。
大きさ(容量)と口ばしと注ぎ口の形、たったこれだけだけです。
ただどれが一番いいというものではなく、それぞれ特徴がありますのでそれを基準に自分に合ったミルクピッチャーを探していくことになります。
自分がどういった環境で使うか、どんなラテアートを描きたいか。それを考えながらこの記事を読んでいって下さい。
ミルクピッチャーの大きさ(容量)から考える
まず一番初めに考えなくてはいけないのは、どの大きさ(容量)のミルクピッチャーにするかです。
一般的に売られているミルクピッチャーの容量は
- 350ml
- 450ml
- 600ml
この三種類の大きさになります。
なので今回はこの三つの大きさのミルクピッチャーを基準に、その特徴を見ながら考えていきます。
用途によって使い分けしたりしますが、ラテアートを上手に描きたいというのなら450ml以上のミルクピッチャーがお勧めになります。
350mlピッチャーの特徴
350mlミルクピッチャーの特徴
- ピッチャー自体が小さいのでノズルの短い家庭用エスプレッソマシンでよく使われる
- ラテアートに関しては不向き
主に家庭用マシンで使用されるミルクピッチャーです。
マキアートなど少量のスチームミルクを必要とする時に使うこともあります。
ただピッチャーが小さく注ぐ時の勢いがつかないのでラテアートには不向きで個人的にはわざわざ購入する必要はないと思っています。
450mlピッチャーの特徴
450mlミルクピッチャーの特徴
- 家庭用エスプレッソマシン、業務用エスプレッソマシン両方で使える
- 流量コントロールがしやすくラテアートに向いている
- 12オンス以上のカップになると少し容量が足りなく感じる
- 購入できるものが限られている
大きさとしては家庭用エスプレッソマシンのノズルも届くし、業務用エスプレッソマシンの強いスチームで回してもこぼれない大きさです。
またラテアートにも向いていて細かい流量コントロールがとてもしやすいです。
ただ12オンス以上のカップになるとスチームをするとギリギリの高さになるので大きなカップを使用する際は600mlピッチャーを選ぶことになると思います。
個人的には家庭用エスプレッソマシンでラテアートをするならこの450mlのサイズがお勧めします。
中でもWPMの作っているミルクピッチャーは自分も使っていて非常にラテアートがやり易いです。
WPMミルクピッチャーに関しては別記事に詳しく書いたのでミルクピッチャーの購入を検討する際は是非参考にしてみて下さい。
ただ現状、この450mlミルクピッチャーを作っているメーカーが少なく選択肢が限られているのが難点です。
600mlピッチャーの特徴
600mlミルクピッチャーの特徴
- 業務用エスプレッソマシンで一番使われている大きさのピッチャー
- 20オンスカップなど大容量のカップにも対応できる
- 勢いや流れを作りやすくラテアートに向いている
- 流通量が一番多く、様々な形状や色から選ぶことができる
- 家庭用エスプレッソマシンには少し大きい印象
プロのバリスタやカフェで一番使われている大きさのミルクピッチャーで店頭などで見かけるのもこの600ml(20オンス)のミルクピッチャーだと思います。
カフェなどで使われている理由としては大きなカップに対応できる十分な容量がある、8オンスカップなら一回で二杯分のスチームミルクを作れるなど様々あります。
またミルクを注ぐ際の流量も多いので流れや勢いが付けやすくラテアートにも向いています。
ただ家庭用エスプレッソマシンには少しサイズが大きく、スチームの際のパワー不足もあり攪拌不足になりやすいです。(完全に向いていない訳ではない)
流通量が多く、オシャレで色々な形状のものが販売されているのも大きなメリットになります。
ミルクピッチャーの口ばし・注ぎ口から考える
それでは「口ばし・注ぎ口」の考え方を見ていきます。
ミルクピッチャーの大きさ(容量)以上に、ラテアートをする際に重要になってくるのがこの口ばしや注ぎ口の形になります。
その形状にはそれぞれ特徴がありるので自分に合った形を探していきましょう。
口ばしの形の考え方
口ばしの形の考え方
口ばしが浅い:注ぎ口を液面に近づけやすい
口ばしが深い、高い:注ぎ口を液面に近づけにくい
上の画像でいうと左側がくちばしが浅く、右側が口ばしが飛び出ている形になります。
ラテアートを描く際、まず意識しなくてはいけないのが「液面とピッチャーの注ぎ口を近づける」という事です。
その時にこの口ばしの形が大きく関係してきます。
口ばしが飛び出ている方が注ぎ口を液面に近づけやすく感じるかもしれませんが、実際はその逆です。(これ結構罠で実際に注いでみると分かります)
上から見るとボディから注ぎ口までの距離の差がこれだけ出ることになります。
口ばしが飛び出ていると注ぎ口を近づけようとしてもその出っ張り部分がカップに当って邪魔になり逆に遠くなってしまいます。
なのでミルクを注ぐ時に注ぎ口をもっと液面に近づけたいと考えている方は口ばしの浅いものを選ぶ事を方お勧めします。
注ぎ口(スパウト)の形の考え方
続いて注ぎ口(スパウト)の形の考え方をみていきます。
ポイントは二点あります。
①注ぎ口が尖っているか、丸くなっているか
②注ぎ口がめくれているかどうか
こちらをそれぞれみていきたいと思います。
注ぎ口が尖っているか、丸くなっているか
注ぎ口の形の考え方①
注ぎ口の先が尖っている:こまかく、細い線のラテアートに向いている
注ぎ口の先が丸い:勢いや対流を作りやすく流れに乗せた大きく描くラテアートに向いている
画像でいうと左の方が右側より先が尖っている形状になります。
形状通り先が細いとミルクの流量は細く少なくなります。逆に丸いとミルクの流量は大きくなり流れが作りやすくその流れに乗せて大きくラテアートする事ができます。
なのでどういったラテアートを描きたいかによって注ぎ口の尖り具合を考えて選びましょう。
注ぎ口がめくれているかどうか
注ぎ口の形の考え方②
注ぎ口の先がめくれている:液面に対して近づけやすい
注ぎ口の先が水平:勢いが付きやすいが少し液面から遠くなる
先ほどと同じ写真になりますが、注ぎ口に注目して下さい。
左側が口ばしからそのまま水平に注ぎ口なっていて、右側は注ぎ口が少し外側にめくれています。
この小さな違いがかなりの差を生みます。
イメージが沸くと思いますが、めくれている方が注ぐ時にそのまま液面に近くミルクを落とすことができます。
どちらの方が自分に合っているかは人によって違うので実際に使ってみて今後のミルクピッチャー選びの基準にするといいと思います。
ラテアートにお勧めのミルクピッチャー
それではこれからは個人的にラテアートにお勧めのミルクピッチャーを紹介していきたいと思います。
これまで何十個と色々なミルクピッチャーを使ってきた経験からなので参考になると思います。
まず自分がラテアート初心者の方にもお勧めできるミルクピッチャーの条件としては、容量が450ml以上で液面に注ぎ口が近づけやすいものになります。
これまでの記事に当てはめると、口ばしの形が浅く、注ぎ口がめくれているものになります。
自分がミルクピッチャーを探すときは特にこの注ぎ口がいい感じにめくれているものを見ています。
めくれ過ぎていてもダメだし、そのちょっとの具合が本当に難しいんです。
そしてその上記の条件を満たすもので、中でも自分も使っているWPMのミルクピッチャーがお勧めになります。
口ばしも浅く、注ぎ口も少しめくれていて液面に近づけやすくて初心者の方にも扱いやすいミルクピッチャーになっています。
もちろん上級者の方も使ってみると早く出会っていればよかった!となるかもしれません。
自分もずっとミルクピッチャー探しをしてきましたが、ひとまずこのピッチャーで落ち着きそうです。
詳しくは別記事「現役バリスタによるWPMミルクピッチャー徹底レビュー(HC7107シャープスパウト)」に書いているので興味のある方は参考にしてみて下さい。
ラテアートが上手くいかない原因が実はミルクピッチャーだったという事は多々あります。
もし現状のミルクピッチャーに満足していないなら道具を変えてみるのは個人的には非常に有効だと思っています。
この記事を参考に、あなたも早く自分に合ったミルクピッチャーに出会えることを祈っています。
それでは、他にも自宅でラテアートをするのに必要なマシンやグラインダーなどをレビューしてますので良ければ是非読んでいってみて下さい。
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